GENOCIDAL ORGAN INTRODUCTION

夭折の作家、伊藤計劃―。僕たちは、彼が計劃した世界を生きる。

夭折の作家・伊藤計劃氏の原作小説3作を連続劇場アニメ化していく一大プロジェクト「Project Itoh」。
盟友・円城塔との共作として没後発表された「屍者の帝国」で幕を開けたこのプロジェクトは、遺作「ハーモニー」と続き、
そしていよいよデビュー作「虐殺器官」で幕を閉じる。
「虐殺器官」は、2006年に第7回小松左京賞最終候補となり、その翌年に早川書房より発行。
〝伊藤計劃"自分自身を計劃 (けいかく)するという名前と共に出現したこの稀なる才能を、日本の文学業界全体が見逃すことは到底できなかった。

2007年に刊行された「虐殺器官」は“ゼロ年代最高のフィクション”と称えられ、SF、アクション、ミステリ、といったジャンルで区分けすることはもはや無用だった。文庫版の帯には小島秀夫、宮部みゆき、伊坂幸太郎からの絶賛コメントが大きく掲出された。
原作は「一人称で戦争を描く。主人公は成熟していない、成熟が不可能なテクノロジーがあるからである」というコンセプトで書き進められた。
「虐殺器官」の特徴であるリアルで鮮烈な戦闘シーンと、内省的で繊細な心理描写―この両面を描くことが出来る映像作家は限られている。監督・村瀬修功はその中でも間違いなくトップの一人だ。
2015年秋に起こったスタジオmanglobeの倒産により、一時は制作中止の危機に陥ったが、新たに設立されたジェノスタジオにより再始動。
「予測のできない事態だったが伊藤計劃さんが再びチャンスをくれたのかもしれない。」
村瀬を中心に新たに始動した『虐殺器官』。その映像作品としての純度は必ずや、我々の期待を凌駕するだろう。
計劃〈Project〉は止まらない―。

GENOCIDAL ORGAN STORY

9.11以降、テロとの戦いを経験した先進諸国は、自由と引き換えに徹底的なセキュリティ管理体制に移行することを選択し、
その恐怖を一掃。一方で後進諸国では内戦や大規模虐殺が急激に増加。世界は大きく二分されつつあった。

クラヴィス・シェパード大尉率いるアメリカ情報軍特殊検索群i分遣隊は、暗殺を請け負う唯一の部隊。
戦闘に適した心理状態を維持するための医療措置として「感情適応調整」「痛覚マスキング」等を施し、更には暗殺対象の
心理チャートを読み込んで瞬時の対応を可能にする精鋭チームとして世界各地で紛争の首謀者暗殺ミッションに従事していた。

そんな中、浮かび上がる一人の名前。ジョン・ポール。
数々のミッションで暗殺対象リストに名前が掲載される謎のアメリカ人言語学者だ。
彼が訪れた国では必ず混沌の兆しが見られ、そして半年も待たずに内戦、大量虐殺が始まる。
そしてジョンは忽然と姿を消してしまう。彼が、世界各地で虐殺の種をばら撒いているのだとしたら…。
クラヴィスらは、ジョンが最後に目撃されたというプラハで潜入捜査を開始。
ジョンが接触したとされる元教え子ルツィアに近づき、彼の糸口を探ろうとする。

ルツィアからジョンの面影を聞くにつれ、次第にルツィアに惹かれていくクラヴィス。
母国アメリカを敵に回し、追跡を逃れ続けている“虐殺の王”ジョン・ポールの目的は一体何なのか。
対峙の瞬間、クラヴィスはジョンから「虐殺を引き起こす器官」の真実を聞かされることになる。