伊藤計劃

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2015-09-30 :「屍者の帝国」完成披露上映会レポート

【舞台挨拶】 9月26日(土)14:00~14:35
【場所】   TOHOシネマズ日本橋 スクリーン7
【登壇者】
 細谷佳正(ジョン・ワトソン役)
 村瀬歩(フライデー役)
 花澤香菜(ハダリー・リリス役)
 牧原亮太郎監督

10月2日(金)の初日を前に、9月26日(土)、TOHOシネマズ日本橋にて完成披露上映会が開催されました。細谷佳正(ジョン・ワトソン役)、村瀬歩(フライデー役)、花澤香菜(ハダリー・リリス役)、牧原亮太郎監督による舞台挨拶では、登壇者の役に対する熱い思いや、作品のみどころなどをそれぞれ語り、大いに会場は盛り上がりました。

Q:役が決まったときの感想を教えてください

細谷:ワトソン役が決まったときは、オーディションの際に頂いた原稿を何度も読み直して、イメージ作りをしました。牧原監督とは、「ハル」という作品で一緒にお仕事をさせていただいているので、またご一緒にお仕事が出来るのがただただ嬉しかったです。

村瀬:テープオーディションだったので、指示がないんです。どうやって良いのか全然わからなくて、何だろうなと思いながらも、自分なりに考えてフライデーの声を作らせ頂いたので、役が決まってすごく嬉しかったです。

花澤:原作を読みながらオーディション用のレコーディングをしたんですが、このセクシーお姉さん、私に出来るだろうかと思いながらも、楽しく取らせて頂いたので、決まったと聞いて嬉しかったですね。このプロジェクトのナレーションをやらせていただいてたので、作品に関われることになって嬉しかったです。

Q:映画を観ていかがでしたか?

細谷:こんなふうになるんだ、というのが第一印象です。「屍者の帝国」という小説は、亡くなられた伊藤計劃先生のプロットを円城塔先生が引き継ぎ書かれているのですが、ワトソンとフライデーの関係が、そのお二人の関係そのものなのだろうなとか、様々な気持ちや思いがこの作品に反映されているのかなとか、そう考えるとワトソンの台詞がより深く、重みを増して刺さると思いました。とても興味深かったです。

村瀬:最初に思ったのは、音の技術が本当にすごくて。フライデーを屍者にさせる最初のシーンで、フライデーが目を開けるときに、かすかな息を入れたんです。普通のアフレコだったら拾えないくらいの息を要求されたのに、モニターテストで聞いたら、屍者が最初の呼吸をどのようにしたのかが分かるくらいに音が録れていて、信頼できるスタッフに録ってもらえるんだから、あとは自分で音の技術に対して、どれだけ挑んでいけるかというのが課題になっていていました。2回目を観るときは、もう少しゆるやかに物語を楽しみたいなと思いました。3回目はまた解った上でもう一度違う目線で観れるし、本当の意味で3回楽しめる作品だと思います。

花澤:SFものって、普段あまり読まないんですね。何回もつっかかっては、前に戻り読み進めていったんですけど、それだけボリューミーな意味がつまった小説なんですけど、それをこの時間にまとめるだけの力がすごいなと思って。しかも分かり易いじゃないですか。すげー面白い!って思いました。

Q:最後に一言ずつお願いいたします

細谷:何回も観ることで、また違った感想や感動が生まれる深みのある作品だと思いますので、公開されましたら何度も劇場に足を運んでいただいて、ご覧頂けたらと思います。

村瀬:この作品ほど挑戦をしているアニメーションはないと思います。何より、作り手側の愛情を感じました。公開が来週からなので、僕自身もどこかの劇場で観たいと思います。

花澤:ハダリーが何者なのかというのは、公開出来ないのですが、その正体が分かった後も、つじつまが合うように、監督とお話しながら作らせて頂きました。何度も観て頂いて、そうったところも確認していただけたら嬉しいなと思います。私が感じたこの作品のテーマは、魂ってなんだろうということ。どう思ったかを皆さんで話して頂くのも良いかと思います。

牧原:この作品は、監督のご依頼をいただいてから完成まで二年ほどかかりました。一昨年の秋はイギリスまでシナリオハンティングに行っていました。去年の今頃は、カラマーゾフとニコライのシーンの絵コンテを描いているところでした。絵はまだほとんどありません。そこからわずか一年で完成できた事がとても信じられません。優秀なスタッフに感謝しています。制作が佳境のとき自分は伊藤計劃さんが亡くなられた時と同じ34歳でした。伊藤さんの遺されたもの、言葉を強烈に意識しました。問いを突き付けられながら作っていた感じです。その問いに答えられたのかはわかりませんが自分なりの答えを二時間の映画にできたのではないかと思います。伊藤さんの元にこの映画が届いてくれるといいなと思います。そして今日、伊藤さんと、それを引き継いだ円城さんの言葉をお客さんにこうお披露目できたことをとても嬉しく思っています。どうもありがとうございました。